完璧上司は激甘主義!?
目の前で南課長の悪口を言っている同期のふたりは、田村さんと中村さん。
他にもうひとりの同期と会わせて、四人がこのブライダル企画課に配属された。
田村さんも中村さんも、友人として付き合うにはいい人たちなんだけど……どうも仕事が絡むと、良い付き合いが出来るとは思えないんだよね。


「だけどそう思っちゃうのも、全部あの潔癖上司のせいよね!……新さんもそう思うでしょ?」

急に話を振られ、ドキッとしてしまったものの、同意するように微笑んでみせると「やっぱりそうだよね」と声をハモらせ、南課長の悪口を言い始めたふたり。

そんなふたりを横目で見つつも、つい気になってしまうのは南課長。

そっと給湯室から覗いて見ると、さっき私が淹れた珈琲を飲んでいるところだった。

“潔癖上司”こと南 篤人(ミナミ アツト)二十八歳。
推定身長百八十五センチ。黒の短髪に、くっきり二重。そして目鼻立ちが整ったフェイスの持ち主である彼は、俗に言う男前だ。
しかも我がブライダル企画課の若きエースであり、二十八歳にして課長という肩書を持つ彼だったら、さぞかし女性社員が放っておかないはず。

でも、彼の場合はそんな定義には当てはまらない。
なぜならあだ名と化しているように、超がつくほどの“潔癖症”だからだ。
< 3 / 410 >

この作品をシェア

pagetop