完璧上司は激甘主義!?
「それに新さんの気持ち、分かりますから。……僕も一度振られたくらいでは諦められそうにありません」

「えっ!?」

にっこり笑顔でサラッと言われちゃったけど……本当なの?

「新さんが南さんを諦められないように、僕も新さんを諦められそうにありません。……それに今日お話を聞いてさらに好きになってしまいました」

またまたサラッと臆することなく恥ずかしい台詞を言ってのける大高さんに、こっちが恥ずかしくなる。

「でっ、でもあの……本当、私なんかより大高さんにはもっと素敵な人がいると思うのですが……」

そうよ。もっと沢山いる。

「“なんか”という言葉は使うものではありませんよ?それに新さん以上に魅力的な女性などいませんから」

「……っ!」

恥ずかしくてむず痒い言葉のオンパレードに、カッと顔が熱くなる。

「そうやって照れてしまわれる新さんも素敵ですよ」

ぬかりなく囁かれる言葉に、「ありがとうございます」と返すだけで精一杯だった。

「しばらくはビジネスパートナーとしてよろしくお願いしますね」

でも私の気持ちは、ちゃんと大高さんに伝わったんだよね?

差し出された手にそっと触れると、大高さんは力強く握りしめてくれた。

「こちらこそよろしくお願いします」



南課長と私の未来は重なることは、ないのかもしれない。
でも簡単には諦められないの。
だから今はまだ好きでいてもいいよね?……諦めなくてもいいよね?


私には南課長を諦める方法なんて、きっと見つからないから――。
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