完璧上司は激甘主義!?
どうにか南課長を家に招き入れずに済む方法を模索するものの、当然浮かんでくるはずなどない。

無理矢理南課長の家に行く……とか?
でもそれって返って怪しまれそうな気がする。
でも他の方法なんてある?

立ち尽くしたまま色々な考えが頭をよぎる中、前方から私を呼ぶ南課長の声が聞こえてきた途端、身体中が緊張感に包まれてしまった。

「南課長……」

暗闇の中から現れたのは、やはり仕事帰りの姿のままの南課長だった。
私の姿を確認すると、安心したように微笑む姿に胸をキュンとさせられる。

「どうしたんだ?こんなところで立ち止まって」

「あ……いや、その……」

こうやって心配してくれて、わざわざ迎えに来てくれた南課長には、とてもじゃないけど言えない。
どうやったら南課長を家に入れずに済むかを考えていたなんて、言えそうにない。

返事に困っていると、南課長は手にしていた買い物袋と鞄を持ってくれ、そして手を繋いできた。
驚き顔を上げれば、愛しそうに見つめる瞳にドキッとなる。

「早く帰ろう」


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