完璧上司は激甘主義!?
あぁ、もう……。
ダメだ、私。

「……はい」

南課長にこんな甘い顔をされちゃったら、何も言えなくなっちゃう。

先ほどまで夜風が冷たいって感じていたというのに、隣に南課長がいて手を繋いでいるだけで熱くて堪らない。
ドキドキして心臓が壊れてしまいそう――。

「悪いな、最近仕事が忙しくて」

「いいえ、そんな!」

申し訳なさそうに話す南課長に、逆にこっちが申し訳ない気持ちにさせられてしまう。

「あの……嬉しかったです。……忙しいのに、こうやって会いに来てくれて」

「新……」

自分で言っておきながら、大胆な発言をしてしまったと思う。
でもこれは本当の気持ちだから。
嬉しいよ。疲れているのに、会いにきてくれて。

繋がれた手の力が強まる。
すぐに南課長を見上げれば、嬉しそうに微笑んでいてさっきの言葉は間違いなんかじゃなかったのだと、安心できた。

昨日より今日の方がもっと南課長のことを好きになる。
こうやって何気ない仕草ひとつで、私は幸せな気持ちになれるんだ。

そう。
私は幸せ。……だから南課長も分かってくれるだろうか。
『幸せボケ』の一言で片づけてくれるだろうか……?
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