完璧上司は激甘主義!?
「なに笑っているんだ?」

「笑ってませんよ」

「嘘言うな」

お互いクスクス笑いながら触れ合うこの時間が、今では一番大切な時間になりつつある。

「麻帆……こっち向いて」

耳元で囁かれ、ドキッとしながらも言われた通り身体の向きを変えれば、篤人さんは目を細めて微笑んでいた。
そしてドキドキしている私の頬にそっと大きな手で触れてきた。

「あのさ、麻帆……。こうやってお互いのマンション行き来するのもいいと思うけど、さ」

「?はい」

そう言うと篤人さんは、距離をさらに縮めてきた。

「最近週の半分は一緒に過ごしているし、どうせなら一緒に住まないか?」

「…………え?」

一緒に住む?……私と篤人さんが??

思いもよらない言葉に、頭の中はフリーズ状態。

「そう。こうやって一緒にいる時間が増えるだろう?」

それはもちろんそうだ。
一緒に住めば朝から晩まで二十四時間篤人さんと一緒にいられる。
好きな人と一緒にいられる。しかもそれをこうやって篤人さんから言ってくれたのだから、嬉しいに決まっている。……でも、今ここで大きく首を縦に振ることは出来なかった。
< 371 / 410 >

この作品をシェア

pagetop