完璧上司は激甘主義!?
でもね、本当の南課長は違うと思うな。
少なくてもあの日の南課長は違った。
潔癖症なのに、女の子のために木登りしちゃって、猫を助けちゃったんだよ?
飼い主とは違うと分かっても責めもしなかった。

きっと南課長は、優しい人なんじゃないかな?

でも――……。
さっきの田村さんの話には頷ける部分も沢山ある。
きっと南課長と付き合う人は、完璧な人でなおかつ潔癖症な人ではないと、ダメなんじゃないかって思えてくる。
私の自宅を見られたら、もう完璧に私は南課長の恋愛対象から外されてしまうんだろうな。

そう思うとチクリと胸が痛む。

「ズボラな性格、直さなきゃかな……?」

ポツリと漏れてしまったひとり言。

「えー?なに?」

すっかり酔いが回って上機嫌な田村さんには、幸いなことに聞こえていなかったようだ。

「ううん、なんでもないよ」

ちょうどタイミングよく追加で頼んでおいたお酒が運ばれてきた。
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