完璧上司は激甘主義!?

瞼を固く閉じれば、昨日の情景が頭に浮かぶ。
夢だったのかもしれない、とさえ思える中。ハッと我に返った。

あれ……？私、いつの間に帰ってきた？

少しずつ覚醒していく脳と同時に、身体を伝う冷や汗。
ゆっくり記憶を辿るものの、田村さんと飲んでいるところまでしか辿れない。
恐る恐る布団から顔を出し周囲を見回すも、正真正銘ここは自分の寝室に間違いなかった。

「良かった……」

一瞬想像しちゃったよ。
よくドラマの世界でありがちな、【記憶がない＝目覚めたら知らない部屋だった】が。
だけどさすがに私に限ってはそんな心配、無用だったみたいだ。

「……じゃあ私、どうやって帰ってきたんだろう」

疑問が浮かぶ。

完全に覚醒した脳をフル活動させ、まずはぺろりと布団を捲ると残念なことに、服装は昨日のままだった。……と、いうことは。
恐る恐る両手で顔に手を当てると、ばっちりメイクされたまま。

「やってしまった」

お肌に一番いけないことを、まんまとやってのけてしまった。

しかも昨日記憶が飛ぶほど飲んじゃったし。
顔、浮腫んでいるかもしれない。

そう思っちゃうと気になってしまい、勢いよく起き上がるも激しい頭痛に襲われる。