完璧上司は激甘主義!?
「例えば廊下ですれ違いざまに、女性の口紅が肩に触れた時とか、あとは女の子達からの苦情だけど、書類に少しでもシミをつけてしまえば睨まれるし、人のデスクが散らかっているのを見るとあからさまに嫌な顔をするとか、他にもいっぱい聞いたことあるぜ」

「……別に意識しているつもりはなかったんだが」

「無意識にうちに出ちゃうんでしょ?“潔癖上司”だから」

得意気にそう話す裕介に、返す言葉が見つからなかった。
裕介の言う通りの行動を俺は取っていたかもしれない。

「篤人さ、いつまで経ってもそんなんじゃ一生結婚できないぞ?」

いつの間にか話は大きくなっており、“結婚”の二文字をちらつかせる裕介。

「なんで潔癖症ってだけで結婚できない話に発展するんだよ」

世の中には俺みたいな男なんて、沢山いるだろ?
みんながみんな結婚出来ていないわけじゃない。よくテレビでも見かけるほど潔癖症の男はいるのだから。

「篤人は分かっていないな。いいか?俺達のようなサラリーマンには、職場が最大の出会いの場所なんだぞ?中には合コンやサイトを利用する奴もいるが、大抵は皆職場恋愛だろ?」
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