完璧上司は激甘主義!?
よく考えてみると、社会人になってから本気の付き合いなどしたことないかもしれない。
社会人になってから何年経った？

「どれだけ遠退いてんだよ」

「ハハッ」と乾いた笑い声は、また空気のように消えていく。

帰宅ラッシュを過ぎた時間だが、まだまだたくさんの帰宅者で歩道は溢れている。
酔って足元がおぼつかない達も
いる。明日が休日だったら、まだ裕介と飲んでいたかもしれないが、さすがに次の日が仕事と分かっていて飲んでいられるほど、もう俺達は若くない。

次第に見えてきた駅の改札口。
そろそろ定期を出しておこうと、ビジネスバッグの内ポケットに手を入れた時、すれ違う人の声が耳に届いた。

「ちょっとさっきの酔っぱらい、やばくない？」

「ねー。男ならまだしも、女の酔っぱらいってちょっとみっともないかも」

顔をしかめながら通り過ぎていく女性ふたり。

女の酔っぱらい？
こんな時間にか？

頭の片隅で思いながらも定期を取り出し、改札口へと進んでいく。
するとなぜか改札口にはちょっとした人だかりができていた。

「なんだ？あれ」

いつもだったら流れている人の波が、今日は見事に途絶えていて、自然と俺の足も止まってしまった。

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