完璧上司は激甘主義!?
すると聞こえてきた声と、見えてきた光景に目を疑ってしまった。


「なんで鍵がささらないの！？」

「ですからお客様、ここはお客様のご自宅ではなく、駅の改札口です」

酔っぱらった女は、改札口の切符を入れるところに、ささるはずのない鍵を何度も差し込んでいた。
そんな女に心底困り果てている駅員は、どうにか女を説得しようと必死だった。

「お客様、自宅の住所は言えますか？それか電話番号！」

「なに言ってるの！？ここが私の家でしょうが！」

完全に酔っている女は、どうやらここが自宅だと思い込んでいるらしい。
顔を真っ赤にさせ、時々呂律が回らない女に、駅員は手を上げてお手上げ状態。

いつもの俺だったら完全に傍観者だが、今回ばかりはそうはいかない。

「すみません」

人をかき分け、前へと進んでいく。

もうひとりの駅員も来て、なにやら相談し始めたところへ駆け寄った。

「ご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした」

そしてすぐに駅員達に向かって頭を下げると、駅員達は驚いたようにそれぞれ声を漏らした。
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