完璧上司は激甘主義!?
「ここ……本当に新の部屋なんだよな？」

職場でのイメージからかけ離れすぎている部屋の実態に、空いた口が塞がらない。
会社での新は、誰よりも努力家で気配りができる社員だ。
それに新のデスクの上はみんなに「手本にするように」と言いたいほど、いつもきれいに整理整頓されている。

なのにどうして自宅の部屋がこれほどまでに酷いんだ？

「まさか泥棒が入ったのか？」

それなら頷ける。
これほどまでに部屋が汚いのも。
だけど新は俺の話を聞くと、豪快に笑い出した。

「南かちょー冗談がうまいれすねー！だけど残念なことにここは私の部屋れす！それに、これはいつもの風景れすから～」

「いつもの風景って……」

本当なのか？じゃあ新はいつもこの部屋で過ごしているっていうのか？

信じられない光景と現実に、ビジネスバッグを床に落としたまま放心状態に陥る。
すると新はそんな俺の様子に気付くことなくキッチンへ向かっていった。

「只今美味しい珈琲を淹れますから～」

「珈琲？」

その言葉に慌てて新の後を追い掛ける。
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