完璧上司は激甘主義!?
部屋がこれほど汚いんだ。
キッチンもさぞかしすごいことになっているのだろうと、ある程度覚悟を決めて入ったものの、意外なことにキッチンは綺麗に片付けられていた。
まるで一度も使われたことがないほどに。

「えっとー……確か数年前に買ったインスタント珈琲があったはず……」

数年前!?

キッチン上にある収納棚を探し出した新を、慌てて止めた。

「新、俺がやるから」

「えー……でも、お母さんに……」

「いいから!」

有無を言わさぬよう強く言うと、新はしぶしぶ横にずれた。
そんな新を横目にすぐに収納棚をチェックすると、確かにインスタント珈琲が見えた。だけど……。

恐る恐る裏面を見れば、思った通り賞味期限はとっくに過ぎていた。

やっぱり。
良かった。淹れられる前に気付いて。
賞味期限切れの珈琲を危うく飲まされるところだった。

ホッと胸を撫で下ろし、これは見なかったことにしようとそっと収納棚にしまいこむ。
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