完璧上司は激甘主義!?
「あれ~?南かちょー、珈琲飲まないんれすか?」

収納棚に戻したのをしっかりと見ていたようで、不審な目で俺を見てくる新。

「悪い。俺、夜は珈琲を飲まない主義なんだ」

適当な言い訳をすると、どうにか新も納得してくれた様子。

「うーん……なら仕方ないれすね。お母さんも許してくれると思います」

「あ……あぁ」

よく意味が分からない話に相槌を打ちながらも、帰るタイミングを窺っていた。

このままだとズルズルとここにいなくてはいけない羽目になりそうだし、早めに切り出して帰らないと。

そう思いキッチンを出て、先ほど落としたままだったビジネスバッグを拾い上げる。
そしてすぐに新に帰ることを伝えようとしたものの、あろうことか新は俺の横をいつの間にか通り抜けていき、寝室らしきドアのドアノブに手を掛けるところだった。

「新待て!俺、帰るから!」

寝室に入られる前に声を張り上げるものの、新からは眠そうな声が返ってきた。
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