完璧上司は激甘主義!?
「これもある意味、裕介の言う“優しさ”なのだろうか……」

上司として、部下の様子を見守ること。

別にやましい気持ちはないし、このまま鍵を閉めずに帰るのも、閉めて持って帰るのも後々色々と問題がありそうだ。
それならいっそのこと、このまま夜が明けて新が目を覚ますまで待っていた方が、いいのかもしれない。

「それに……」

つい大きな溜息を漏らしながら、見回してしまう新の部屋。

「これは酷過ぎるだろう」

つい顔も引きつってしまう。あまりの散らかりように。

他人の家を片付けるのはルール違反であり、社会的立場からしても上司が部下の部屋の物を勝手に触るのも悪いとは思うが……。
たった数時間の間に、散々迷惑を掛けられたんだ。
お互い様だろ。

ジャケットを脱ぎ、部屋の掃除に取り掛かる。
近所迷惑になったら大変だから、洋服やゴミ、そして多分酷いことになっているであろう水回りからだな。

頭の中で掃除の手順を整理し、ワイシャツのボタンを外し折り曲げる。
それからなるべく音を立てぬよう掃除を始めた。
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