完璧上司は激甘主義!?
「猫ちゃん~……」

それでもこんな可愛い子供が、子猫を心配して涙を浮かべている姿を見せられては、そんなこと言っていられなくなる。

少しだけ登って手を伸ばせば子猫に届くかもしれない。
ゴクリと生唾を飲み込み、腕まくりをしていざ、木を登ろうとした時。

「悪い、これ頼む」

「――え?」

突然聞こえてきた声と同時に、遮られてしまった視界。

なっ、何!?

急に目の前が真っ暗になった原因のものを急いで取ると、それは大きなジャケット。

「うわぁ、お兄ちゃん凄い!」

お兄ちゃん?

女の子の声に木の上を見上げると、いつの間にか高い位置にいる子猫の元へ辿り着いており、そっと子猫を抱き寄せるワイシャツ姿の男性の姿があった。

「……すごい」

あっという間に子猫を救出したかと思えば、長い手足を使って登った時よりさらに速いスピードで降りてきた男性。
男性の腕の中には、いまだに震えている子猫の姿があった。
< 9 / 410 >

この作品をシェア

pagetop