星をみる
領主の息子、と言われてもおぼろげにしかわからない。
コロンバインはいつしか実験が大好きな女の子になっていた。
それ以外のことに心が奪われることはほとんどない。

「ココも来るかい?」

先生は来るならば綺麗なドレスを用意しよう、と目を細めて笑った。
しかし、コロンバインは首を振る。

「観測がありますから」

そう言って、まだ明るい空を見上げた。

コロンバインは星の観測者だ。
毎日星の位置を図面に記録し、移り変わりを観る。
暦を作ったり、季節や天気を読むのにも重要な作業だった。
この仕事は1日たりとも欠かせない。
より精密で、正確な記録が後世のためにも必要なのだ。


「そう言うと思ったよ」

先生はクスリと笑う。

「それじゃあ、僕が留守の間、観測を頼むね」

領主の息子の祭りで、先生は七日七晩家を空ける。
コロンバインはしっかりと頷いた。

「はい、楽しんできてくださいな」
< 2 / 9 >

この作品をシェア

pagetop