カラフル
今日も電車に乗り込んで来た

あの人を見ると

今日は友達らしき人と一緒だった。

初めて声聞いたなぁなんて思いながら

目の前に座った2人をちらっと見たら

友達さんがこっちに近付いてきた。



「ちょ…おい!」



あの人が止めるのを無視して

私の目の前へ。



「こんにちはー」

「こ、こんにちは」

「名前なんて言うの?」

「え?」



友達さんの第一印象、ナンパ師。

良く言えばフランクな人だった。



「巧やめろって!困ってるだろ!」

「なんだよ、爽汰がいつまでも話しかけないからきっかけ作ってやってんだろ?」

「あ、ばか!」

「…ふふっ」



あの人が困っているのが少し面白くて

つい笑ってしまった。



「ごめんね、こいつが。嫌だったよね?」

「いえ、大丈夫ですよ」



そっか、と言いながら

あの人が隣に座ってきた。

それだけでも心臓がドキドキするのに

友達さんがさっきいた席に

戻ってしまったから

更にドキドキする。



「…ねぇ、名前聞いてもいいかな?」

「城崎弥生…です」

「可愛い名前だね」



そんなこと言われるなんて

思ってなかったから

顔が一気に熱くなった。



「…あなたの名前は?」

「僕は江波爽汰」



ずっと聞きたかった名前がやっと聞けた。

もう感動して涙が出そう。



「…よかったらさ、アドレス教えてくれない?」

「え!?」

「いきなりとか嫌…だよね。ごめんね!」



私はブンブンと首を横に振った。



「嫌じゃないです」

「本当?よかった」



若干手が震えながら連絡先を交換した。

神様、ありがとうございます。
< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop