カウント・ダウン
だいたい、想像してた森なんてものもドラマの中どころか、洋画の中にしか存在しないのだ。
トボトボ歩きながらその事に気付いた。
近くに見えたはずの山は歩いて近づくには遥かに遠く、ジャンルジムじゃあるまいし、何処からでも登れるワケでもない。
田んぼと畑と幹線道路。
平屋の家々。
なんの感傷も呼び起こさないありきたりの田舎の景色。
どれだけ歩いたって、心揺さぶる光景も泣けるきっかけも見つからないに違いない。
それでも諦めきれずにしばらく歩いたが、何やらいかがわしげな言葉を濁した古ぼけた看板に最後の希望も萎えてしまい、帰る事に決めた。