カウント・ダウン


それでもけっこうな距離を時間をかけてふらふらと歩いていたらしい。

つまらない金歯女の店の前を再び通る頃には少し日が傾いていた。

駅で上りの電車を待つ間、せめて綺麗な夕陽が田畑を染める光景でも見えやしないかと僅かに期待したが、雨でも降るのだろうか、重い色の空にありきたりの疲れた太陽が滲んでいるだけだった。


ぐったりと座席に身を沈める。
ほんの少し、草の匂いが鼻孔に残っている。

せめて、このままウトウトしたい…。

が、もちろんそうはいかなかった。

乗り換え駅で、学校帰りの学生が大量に乗ってきたのだ。
大きなカバンをドサッと足元に投げ出し、足を広げて座り、すぐ隣で大声で喋り出す。

ドア近くでは、何が楽しいのか女の子たちがキャッキャと笑い転げている。

あっちでも。
こっちでも。

ここではアタシが邪魔者なのだ。
理不尽な疎外感。
理不尽な苛立ち。


もう沢山だ!



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