カウント・ダウン
若い矯声に耐えきれずに自宅より手前の駅で降りてしまった。
どうせ…夕暮れでもなく宵でもないこんな中途半端な時間に寂しい部屋に帰ったって、薄暗い部屋がいつも以上に荒んで見えるだけだ。
家から近い駅なのに全然知らない街。
食欲なんか全くないから、せめて落ち着いたカフェでも探して。
熱い香ばしいコーヒーを飲みたい。
…ほらね、やっぱりね。
どこまで歩いたって落ち着いたカフェどころか、純喫茶すら見つからない。
寒々しいコンビニなんかもう見飽きた。
再び電車に乗る気分じゃない。
ホームの白い蛍光灯にどうせ萎えるだけなんだ。
このまま歩いて帰ろう。