殺し屋さんと王子様
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僕は、何人の人を殺めたのだろう。
覚えていない。
ただ、その時の情景は嫌なぐらい鮮明に覚えている。
真っ赤な血に染まっていく身体。
「お願い」と助けを乞う絶望に満ち溢れた顔。
ごめんなさい。
僕はいつもそう言って、僕は悪くないと逃げている。
そうでもしないと心なんかすぐに崩れてしまう。
《010チハル。至急依頼執行を求む。エントランスへ向かえ》
空っぽの人形なんじゃないかってくらい中身のないアナウンス。
僕は硬い革に包んだナイフを腰にかけ、エントランスへと足を運んだ。