LOVEPAIN⑤
怖い夜

結局、私達四人は二時間近くその居酒屋に居た


お酒を飲むとその辺りの感覚が鈍るのか、

時間は思ったよりも早く過ぎる




そして、このテーブルの代金は、
成瀬一人が支払ってくれた




「成瀬さん。
ごちそうさまっす」


会計を済ませ、
遅れて店から出て来た成瀬に、

初めに篤がそう言った




「遥さん、ごちそうさま」


芽衣子さんもそう言って、
成瀬の横に寄り添うように並ぶ




「ああ」


成瀬はそんな芽衣子さんの方を見て、
笑いかけている




私もお礼を言わないと、と思うのに、
店から出てからこちらを見ようともしない成瀬に、

言葉が出なかった



無視されたら、と思うと、
怖くて声が出ない





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