LOVEPAIN⑤


「篤さん、煙草いいんですか?」



「ああ…」



「――泊まるなら、
部屋に帰ってからキスすりゃあいいじゃない……」



口から勝手に、
そう零れてしまう



不思議だけど、

心が壊れたように痛むのに、
涙は出なかった




「――悪い。

今日は俺のせいで、
お前に嫌な思いばっかさせて…」



「――篤さんは、悪くないです」



篤が私に気を遣ってくれて、
飲みにでも連れて行こうとしてくれた



それに、煙草だって、
ただ吸いたくて仕方なかっただけなのに



だから、篤は悪くないのに、

ほんの少しだけ、
私は篤のせいで、って思ってしまっている



ただ、それは怒りをぶつける所が欲しいだけなのだと思う






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