LOVEPAIN⑤
「――本当に成瀬の奴。
散々私に優しくしてて、
彼女が出来たら急に私なんか無視で」
酔いの回った私は、
ずっと成瀬の悪口を言っていた
「あの、成瀬の愛車のシートの皮の匂い苦手だし!
時々、あれで酔いそうになるから!」
その度に、
篤は、ああ、とか、うん、
とか言っていた
その後は、もう記憶がない……
夕べ、成瀬との事で、
まずい事を口走っていないか心配になってしまう
篤はそんな私の心配をよそに、
スースー、と気持ち良さそうに寝ている
その逞しい上半身から下半身に目を向けるが、
下は部屋着のような短パンを穿いている
上も初めは着ていたのだろうが、
暑くて脱いだのだろう
床にTシャツが無造作に落ちている
私が眠った後、
スーツから部屋着に着替えたのだろうか?
そして、一晩、篤は私のせいで床で寝たんだ