LOVEPAIN⑤


「――本当に成瀬の奴。

散々私に優しくしてて、
彼女が出来たら急に私なんか無視で」



酔いの回った私は、
ずっと成瀬の悪口を言っていた



「あの、成瀬の愛車のシートの皮の匂い苦手だし!

時々、あれで酔いそうになるから!」



その度に、
篤は、ああ、とか、うん、
とか言っていた


その後は、もう記憶がない……





夕べ、成瀬との事で、

まずい事を口走っていないか心配になってしまう



篤はそんな私の心配をよそに、

スースー、と気持ち良さそうに寝ている



その逞しい上半身から下半身に目を向けるが、

下は部屋着のような短パンを穿いている


上も初めは着ていたのだろうが、
暑くて脱いだのだろう



床にTシャツが無造作に落ちている




私が眠った後、
スーツから部屋着に着替えたのだろうか?



そして、一晩、篤は私のせいで床で寝たんだ





< 134 / 641 >

この作品をシェア

pagetop