LOVEPAIN⑤

その時、ドアがノックされて、

盆を持った女性が会議室へと入って来た



その盆の上にはお茶が四つ載っていて、

私達の前と、松平社長、

そして、松平社長の横の空席に一つ置かれた




「紹介しますね。
こちらは、武田明美(タケダアケミ)。

現在、うちの作品の監督と脚本は殆ど彼女が手掛けているの」



「監督…さん…」



てっきり、普通の事務員の女性かと思った



パッと見た感じ、
若く見えたのもそう思った理由だけど



だって、AV監督って私はコウジロウさんしか知らないけど、

コウジロウさんっていつもけっこう偉そうにふんぞり返ってるから



絶対に、彼はお客にお茶なんか出さないだろう




「うちの会社、スタッフは少人数しか居なくて。
そして、今日は事務の子がお休みで。

だから、明美ちゃんに、こっちの部屋へ来る時、ついでにお茶をお願いしたの」


私の心を読んだように、
松平社長はそう答えてくれた


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