LOVEPAIN⑤
「お母さんには内緒だよ」
「お父さん、嫌っ」
抱き付いて来る田中たちおから、
必死で逃げようとする
本気で力を出したからか、
本当にその腕からスルリと逃げれてしまった
あ、あれっ!?
「あー!カット!!」
コウジロウさんはカメラを止めさせて、
こちらへと歩いて来る
「広子ちゃん、台本通りにしてくれないと…」
「すみません…」
コウジロウさんに頭を下げ、
部屋の隅に居る成瀬に目を向けると、
呆れたようにこちらを見ていた