LOVEPAIN⑤


「あの、成瀬さん」


相変わらず続いているカラオケの音が煩くて、

大きな声を出した




「ん、どうした?」


成瀬がこちらを見ると、

その監督の男性も釣られるようにこちらを見ていた




「私、ちょっと体調が悪いので…。
先に帰りますね。

成瀬さんはゆっくりとしていて下さい」



勝手に帰る事は許されないと思い、

一応、成瀬に声を掛けておこうと思う




「大丈夫か?

なら、俺も帰るけど」


心配そうにこちらを見ている成瀬の顔


その顔を、今の私は疑ってしまう




仕事で私を利用する為に、

心配した振りをして
優しくしてるんじゃないかって




“――お前、あのマネージャーにいいように使われて、AV出て――”



佐藤雲雀の言葉に、
惑わされている




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