LOVEPAIN⑤
「大丈夫そうに見えねぇから、
俺も帰るって言ってんだろ」
そうやって私の事を気に掛けてくれていて、
ずっと耐えていた涙がこぼれそうになる
泣きたくない
泣いたら、
あんな奴に傷付けられたって認めるみたいで、嫌だ
心だけじゃなく、体だって、
傷付けられてなんかいない
セックスなんて、
私にとったら大した事なんかじゃないし、
べつに犯されたわけじゃない
何度もそう自分に、言い聞かせる
自分の体内から逆流して出て来る、その感覚
佐藤雲雀の体液の感覚を感じて、
めまいがして来る
立っているのが、やっと
「広子?」
黙ったままの私に、
そう優しく声を掛けてくれる
前までならば、
何も躊躇わずにこの胸に飛び込んだのかもしれない……