LOVEPAIN⑤


「あ、これ?
明日の朝食のパンを買い忘れてて。

慌てて今、買いに行ってたの」



「そうですか…。

わざわざ買いに行かなくても、
成瀬さんに帰りに買って来て貰えば良かったじゃないですか」



「あっ、そっか。
でも、ちょっと退屈だったから。

テレビも今日は観たいのがなくて」




話を聞いてる感じ、

芽衣子さんはもっと早い時間から、
成瀬の部屋で成瀬の帰りを待っているのだろう



この人はそんな風に、

あの部屋への出入りを許されているんだ



きっと、合鍵だって貰っている




なんなら、もう同棲でもしているのではないだろうか?




「――成瀬さん、まだまだ帰らないかもしれませんよ。
高橋みかちゃんが居るから、
ずっとデレデレしてて。

それに、制作会社のプロデューサーの女性が凄く美人で、
その人とも楽しそうに話してて」


そう嘘を口にしても、
なんの罪悪感も無かった



なんなら、そのプロデューサーと一度寝ている事だって、

言ってやろうか、と思った




ただ、私との関係迄は、
言おうとは思えないけど



それは、彼女である芽衣子さんにそんな過去の話をしても、

自分が惨めになるだけ



成瀬は私を切って、
芽衣子さんを選んだのだと



私は選んで貰え無かったと




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