LOVEPAIN⑤
「広子ちゃん、なんで……」
後ずさる彼女
私も彼女を追うように、
寝室のドアをすり抜ける
殆ど、足の踏み場が無くなったリビング
床には、私が壊した物が散乱している
芽衣子さんは、その足を止めた
だけど、芽衣子さんが後ずさる足を止めたのはそんな事が理由じゃなくて、
私の泣いている顔を見てだった
「広子ちゃんなんで泣いてるの?
どうしたの?」
包み込むような、優しいその声
これが芽衣子さんじゃなかったら、
私はその声にすがっていた
「あんたさえ、いなかったら!」
悲鳴のような声が出た
芽衣子さんは私を見ている
その理由を探るように
それをそんなに知りたいなら、
聞かせてあげる
どれだけ私にとって、
あなたが邪魔な存在なのか
あなたさえ居なかったら