LOVEPAIN⑤
「――はい」
込み上げて来る恐怖を押し殺し、
電話に出る
電話に出たのは、
芽衣子さんの事が気になっていたから
私を庇って負った、
あの手の平の傷
どうなったのだろうか
私の首に付いた傷は、
ティッシュで押さえたら簡単に血が止まった
だけど、芽衣子さんの傷はそんなものじゃなく、
とても深い
『ちょっと会って二人で話さないか?
鍵開けとくから、
俺の部屋にそのまま上がって来て』
前迄ならば、
心踊るようなその台詞
今は、体が恐怖で震えてしまうだけ
「――はい」
『じゃ』
そう言って、成瀬は電話を切った
怒っているのか、そうじゃないのか、
どちらとも思えるような声だった
今から、成瀬と会う
それで、全てが完全に終わるだろう