LOVEPAIN⑤
◇
私が成瀬の部屋のドアを開けて、
玄関に入ると
「あ、靴のまま来い。
まだ皿の破片とか落ちてるかもしんねーから」
成瀬はダイニングから、
こちらにそう声を掛けて来る
かと言われても、
土足で上がれるわけなんてない
私はミュールを脱いで、
部屋へと上がる
「馬鹿、お前、足切ったらどうすんだよ。
一応、破片とか拾って、掃除機かけたけど」
そう言われて下を見ると、
コンセントに挿さったままの掃除機が置かれている
キッチン周りやダイニングは片付けたのか、
散らかってはいない
ただ、食器棚には何も入っていない
床には、新聞紙にくるまれた固まりの入ったゴミ袋が、
数個置いてある
きっと、その中に割れた食器類が入っている
床も拭いたのかもしれないが、
フローリングの木目にかすかに残る血痕――
リビングの方へと目を向けると、
そちらはまだ、
私がひっくり返したままになっている
カーテンも床に落ちたまま