LOVEPAIN⑤
「心配してくれてありがとうございます。
もしかしたら風邪かもしれませんね?
田中さんにも移してたらあれなんで、
後でうがいして下さいね」
風邪なのだと気付くと、
余計に体がしんどく感じて来る
「僕の事迄気遣って頂いて、
申し訳ないです」
田中たちおは、
私みたいな小娘にもそうやって頭を下げる
AV男優よりAV女優の方が偉いのかなんなのか知らないけど、
彼の方が年も上なら、
多分、芸歴も長いはずだから先輩なのに
「あの、田中さん頭を上げて下さい」
「あ、これは、見苦しいものを見せて」
頭を上げ、
先程迄私に向けていた薄くなった頭部を撫でている
「いえっ!!
そんな事ないですよっ!!」
その言葉は、
嘘なのかもしれないけど自分の中では嘘では無かった