LOVEPAIN⑤

成瀬はさっさと一人ベッドへと行くと、

ボロボロに切り裂かれた掛け布団を掴み、

床に捨てた



そして、ベッドの上に乗り、
座っている




「お前が言い出したんだろ?

さっさと来いよ」



「――はい」


私はゆっくりと、
成瀬の方へと歩き出す



頭の片隅で、
辞めると言えばいいんじゃないかって、

思っている





ベッドへ近付くと、
成瀬に腕を強く引かれた



その弾みで、
ベッドに体が落ちる


掛け布団が破れて散らばっていた羽毛が、

宙を舞った




成瀬は私に覆い被さるような、
体勢を取る




私を見下ろすその目――




その目がとても悲しそうで、

優しかった

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