LOVEPAIN⑤


「――お前、ボロボロだな」


その手で、私の頬を撫でる




「首の所血が出てる。

俺がさっきやったからか」



首に出来ていた切り傷が、

先程、成瀬に襟元を掴まれた時に、
擦れて開いたのかもしれない




成瀬は止血をする為なのか、
私のその首筋の傷に唇を付ける


舌がその傷口を撫でるような感触がした




もしかしたら、また



そう期待してしまう




今の成瀬は、前までの成瀬のように私に優しい



このまま、また元に戻れるんじゃないかって




私が成瀬の背に、
手を回そうとした時




つんざくような、
携帯電話の着信音が聞こえた




それは、成瀬のスーツのズボンのポケットから



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