LOVEPAIN⑤
「本当の事、言いましたよ?
私、本当に初めは芽衣子さんを殺そうと思った」
「俺が部屋に帰って来た時、
お前、芽衣子の手を傷付けてあれだけ怯えていたのに。
んな事、本当に出来んのかよ?」
「――でも、本当に殺そうと思った……」
そう思った気持ちは本当だけど、
成瀬にそう言われて分からなくなる
芽衣子さんの手の平から溢れた赤い血を見て、
怖くてどうしていいのか分からなくなった
「それに、芽衣子の手の怪我の事心配してるお前見てたら。
お前はきっと、芽衣子を殺せなかった」
「けど…」
芽衣子さんに包丁を向けていた時の私は、
自分が自分じゃないようだった
だから、成瀬の言うようにそうなのか分からない
「それでも、芽衣子の手の傷はお前のせいだし許せねぇけど」
その目は、もう先程のように怒りに満ちてはいなかった
「だけど、お前がもし死んでたらそれ以上に許せなかった。
お前が無事で良かった」
「成瀬さん……」
この人は、
もし私に何かあったら、
まだそうやって心配してくれるんだ