LOVEPAIN⑤

涼雅は落ち込んでいる私を元気づける為なのか、

ただ、自分が歌いたいだけなのか


色々な曲を弾いて聴かせてくれた



そのどれもが、
私の心を振るわせて来る


その全部の曲を、
涼雅が作詞作曲をして作ったらしい



この人、天才かもしれない……





私は涼雅の前に立ったまま、

時間を忘れてずっとその歌声に耳を傾けていた




「誰よりも君に憎まれたくて~♪
愛して欲しいなんて言えない~♪」



恋愛の曲を選んで歌ってくれているのか、

そんな曲が多い




やがて、涼雅は演奏を辞めた




「なぁ、鈴木広子は、
この辺りに住んでんの?」



「え?
いや、違いますが」



本来なら、この公園からマンション迄は歩くような距離ではない




「でも、あれだろ?
わざわざ俺の歌を聴きに来たんじゃないだろ。

たまたま通りかかったんだろ?」




バレてるみたい…





真夜中にフラフラと現れたのもそうだけど


手ぶらで、デニムのショートパンツに上はTシャツのラフな格好の私


まるで、ちょっとコンビニに行くかのようで





< 274 / 641 >

この作品をシェア

pagetop