LOVEPAIN⑤
涼雅は落ち込んでいる私を元気づける為なのか、
ただ、自分が歌いたいだけなのか
色々な曲を弾いて聴かせてくれた
そのどれもが、
私の心を振るわせて来る
その全部の曲を、
涼雅が作詞作曲をして作ったらしい
この人、天才かもしれない……
私は涼雅の前に立ったまま、
時間を忘れてずっとその歌声に耳を傾けていた
「誰よりも君に憎まれたくて~♪
愛して欲しいなんて言えない~♪」
恋愛の曲を選んで歌ってくれているのか、
そんな曲が多い
やがて、涼雅は演奏を辞めた
「なぁ、鈴木広子は、
この辺りに住んでんの?」
「え?
いや、違いますが」
本来なら、この公園からマンション迄は歩くような距離ではない
「でも、あれだろ?
わざわざ俺の歌を聴きに来たんじゃないだろ。
たまたま通りかかったんだろ?」
バレてるみたい…
真夜中にフラフラと現れたのもそうだけど
手ぶらで、デニムのショートパンツに上はTシャツのラフな格好の私
まるで、ちょっとコンビニに行くかのようで