LOVEPAIN⑤

「あ、でも。
広子ちゃんが遥さんの事が好きなのは本当に知らなかったの!

本当に、篤君と付き合っているって」


慌ててそう言われて、
思い出した



そういえば、芽衣子さんは私と篤の関係を、

そうだと思っていた




“――広子ちゃんと篤君、
やっぱり付き合ってるんじゃないの?――”




「私と篤さん、
本当にそんな風に見えました?」


前のめりになり、
訊いてしまう




「うん。
篤君のあの広子ちゃんに対しての優しさとか見てたらね。

広子ちゃんも…」


そう言い掛けて、
首を横に振る



「広子ちゃんは、篤君を好きだったらいいな、って。
私の願望かもしれない。

広子ちゃんが遥さんを好きになったら、
盗られるんじゃないかって怖くて」




一点の曇りもないくらいに、
まっ白のような彼女



その彼女にも、

ほんの少し、
こうやって人間らしい部分もあったんだ




< 303 / 641 >

この作品をシェア

pagetop