LOVEPAIN⑤
「あ、でも。
広子ちゃんが遥さんの事が好きなのは本当に知らなかったの!
本当に、篤君と付き合っているって」
慌ててそう言われて、
思い出した
そういえば、芽衣子さんは私と篤の関係を、
そうだと思っていた
“――広子ちゃんと篤君、
やっぱり付き合ってるんじゃないの?――”
「私と篤さん、
本当にそんな風に見えました?」
前のめりになり、
訊いてしまう
「うん。
篤君のあの広子ちゃんに対しての優しさとか見てたらね。
広子ちゃんも…」
そう言い掛けて、
首を横に振る
「広子ちゃんは、篤君を好きだったらいいな、って。
私の願望かもしれない。
広子ちゃんが遥さんを好きになったら、
盗られるんじゃないかって怖くて」
一点の曇りもないくらいに、
まっ白のような彼女
その彼女にも、
ほんの少し、
こうやって人間らしい部分もあったんだ