LOVEPAIN⑤
「血は沢山出たけど、
広子ちゃんが思ってる程切れてないの。
本当に!
今、包帯を巻いてるから見せられないけど」
芽衣子さんは包帯の巻かれた右手を目の前にかざし、
私にも見せている
見れば見る程、痛々しい
「私を助けなかったら良かったのに……」
もし、私があのまま首を切っていたら、
本当に私は死んでいたかもしれない
今思うと、死ねる程深くは切れなかったかもしれないけど
ただ、私を助けなければ、
芽衣子さんが怪我をする事は無かった
「私、助けて良かったって思ってるよ。
広子ちゃんの首に、
大きな傷が付かなくて」
芽衣子さんの目が、
私の首筋のかすり傷を見ている
彼女のおかげで、
私はこの程度で済んだ
「それに、もし広子ちゃんが死んだら、
私は悲しいよ」
その言葉に、涙が溢れて来る
特に、泣きたかったわけじゃないのに