LOVEPAIN⑤

「血は沢山出たけど、
広子ちゃんが思ってる程切れてないの。
本当に!

今、包帯を巻いてるから見せられないけど」


芽衣子さんは包帯の巻かれた右手を目の前にかざし、

私にも見せている



見れば見る程、痛々しい




「私を助けなかったら良かったのに……」



もし、私があのまま首を切っていたら、

本当に私は死んでいたかもしれない


今思うと、死ねる程深くは切れなかったかもしれないけど



ただ、私を助けなければ、
芽衣子さんが怪我をする事は無かった




「私、助けて良かったって思ってるよ。

広子ちゃんの首に、
大きな傷が付かなくて」


芽衣子さんの目が、
私の首筋のかすり傷を見ている



彼女のおかげで、
私はこの程度で済んだ




「それに、もし広子ちゃんが死んだら、

私は悲しいよ」


その言葉に、涙が溢れて来る


特に、泣きたかったわけじゃないのに




< 306 / 641 >

この作品をシェア

pagetop