LOVEPAIN⑤
「この指輪、私の好みじゃないの。
あ、遥さんには内緒だよ」
そう自分を取り戻したように、
笑っていた
そんな風に言われたら、
成瀬は私の事を思いながらこの指輪を選んだのかもしれないとか、
有り得ない想像をしてしまう
「遥さん。
早く私との距離を縮めようと必死で。
何かを忘れるように…。
広子ちゃんの事を早く吹っ切りたいんだね。
遥さん、私じゃなくても良かったんだよ」
「――本当に、そうでしょうか」
「そうだよ」
そう笑っている彼女は、
成瀬の事を分かっているようで分かっていない
「芽衣子さんの言ってる事も、
少しは当たっているかもしれません。
だけど、成瀬さんは誰でも良くて芽衣子さんと付き合ってるわけじゃない!
毎日会いに行ったのも、
合鍵渡したのも、
指輪をあげたのも芽衣子さんだからじゃないですか。
私を忘れる為だけじゃないですよ」
目の前の彼女は目を伏せるようにして、
小さく笑うだけ
伝わったのか伝わってないのか、
分からない