LOVEPAIN⑤

「同棲つっても、半同棲だけど。
この部屋、パソコン繋げねーし。

だから、たまには実家帰るから」



「だ、そうです」



涼雅の言葉の尻を拾い、
篤にそう伝える




「けど、安心して。

俺、鈴木広子には本気じゃないから!
好感は持って――」



「てめぇ!!」




涼雅の胸ぐらを掴み、

殴ろうと上げた篤の右腕を私は両手で掴んだ



篤の力が強くて、
その私の手は振り払われそう




「顔は辞めて。
一応、俺、人前で歌ったりするから」



篤は掴んでいた、
その左手を離した



私は念の為、
まだその篤の右腕を掴んだまま





「てめぇ、こいつの事本気じゃねえって、

どういう事だよ?」



「んー、好きで付き合うわけじゃないって事で」



「んだと!」


再び、篤のその腕に力が入るので、

必死に押さえた




今気付いたけど、
篤は私が涼雅に遊ばれているのだと思って、

怒ってくれているんだ



ただ、誤解なんだけど……



涼雅が、誤解を招くような言い方するから






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