LOVEPAIN⑤

成瀬が再び車を発進させようとする前に、


話を切り出す



今日会って、成瀬と話そうと思っていた事を




「昨日、芽衣子さんに会いました」



「え?芽衣子と?」



やはり、芽衣子さんから聞かされていなかったのか



その顔は、驚いている




「彼女、私の部屋に訪ねて来たんですよ」



「マジ?
芽衣子のやつ何も言わないから」



「芽衣子さんと二人で話して、
私自分の気持ちをはっきりと決めました。

私は今も変わらず成瀬さんが好きです。
これからも、多分」



「――ああ」




先程、私は新しい彼氏が出来たと言いながら、

目の前の男性に告白するなんて……



成瀬はその辺りの矛盾には、
気付いていないみたい



ただ、今は困っているのか驚いているのか、

どちらかよく分からない表情を浮かべているだけ




「でも。
私、成瀬さんが芽衣子さんと幸せになってくれたらって思います。

だから、成瀬さんの事は好きだけど、
もう諦めているんですよ」



出来るだけ笑顔で伝えようとしているのに涙が溢れて来て、

成瀬の方から顔を逸らしてしまう



思っているだけとは違い、

それを本人に伝える事は胸が締め付けられるように痛くて苦しくて、

悲しい



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