LOVEPAIN⑤
「確か、500万くらいだっけ?」





「500万円?!」




時計を持つ手が震えて来た






慎重に、ナツキのその腕時計を私の鞄にしまう





紛失したら、弁償出来ない







「あの、ナツキさん。



その指輪はいいんですか?」




私はナツキの左手親指の、



クロムハーツの指輪を見た




少し派手なデザインだから、

目立つ





その指輪は、



ナツキが望んでいるような真面目そうに見えない






「これはいい」




そう言って、

私の左手の薬指を見ていた





そこには、

その指輪とお揃いのクロムハーツの指輪が嵌まっている




今は、カルティエの指輪がないので、



その一本が寂しそうに






「――そうですか」





嬉しいような、

恥ずかしいような





私とそのお揃いの指輪を、



外さないでいてくれて

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