LOVEPAIN⑤
「あー!

俺、肝心な事忘れてた!」




そう急に立ち止まるので、



横に居る私も同じように歩みを止めた






「俺の事、ナツキって呼ばないで」





「えっと…。



あっ、そっかぁ」





ナツキの名前はやはり、

ホストでの源氏名なんだ





だから、ホストをしている事を内緒にするならば、



そんな名前では呼べない







「では、何とお呼びすれば?」






ナツキの本名に興味が湧いて来た




私の声が弾んでいる事に気付いたのか、



ナツキは少し嫌そうにこちらを見ている






「ナツキさんの、本当の名前は?」





何故、私は今迄訊かなかったのだろうか





ナツキはスーツのズボンのポケットから財布を取り出すと、



免許証をこちらに渡して来た





そこに書かれた、

ナツキの名前は

< 375 / 641 >

この作品をシェア

pagetop