LOVEPAIN⑤
「海宝久志…」
カイホウヒサシ
と私は読んだけど
思わず、ナツキの顔を見てしまう
「何?
合ってるけど」
「ナツキさん、
本当は久志って名前なんですねー」
イメージと違うと言えば違うけど、
その名前も似合っているといえば、
似合っている
ナツキは私の手から、
免許証を取り上げる
「特別珍しくないけど、
いい名前でしょ?
うちの父親が何日も考えて付けてくれた名前なんだよ」
「そうなんですね」
そんな大切な名前を、
これから少しの間でも私なんかが呼んでもいいのだろうか?
躊躇ってしまうけど
「久志か久志さんか、
その辺りで母親の前では呼んでくれたらいいから」
ナツキはそれを、
気にはしていないみたいだけど
再び、ナツキは歩き出したので、
私も歩き出す
免許証を見た時に名前と一緒に見えた、
ナツキの生年月日