LOVEPAIN⑤




「ひー君、前会った時より痩せたけど、

しっかりと食べないと」



「ちゃんと、食べてる。
今も、俺けっこう食べたけど」




ナツキ本人が言うように、
ナツキはけっこう食べている



その細い体に、
似合わないくらいに




ナツキとそのお母さんの姿を見ていると、

もう何年も会っていない私の母親を思い出した



その記憶は、幼い頃――…




“広子、早く食べなさい”


“もう!ほんとにあんたとろいんだから”


“もういい!
早く食べないから、全然片付かないでしょ!!”




ガシャンッ――……




シンクに、投げられた皿が大きな音を立てて割れた


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