LOVEPAIN⑤


「――広子ちゃん。
本当に大丈夫?」


そう優しい声を掛けられて、
泣けて来る



この人が、自分の母親だったらって




「大丈夫です。

それより、お母さん今日帰ってしまうんですよね?」


慌てて、話題を変える




「そうなの。
21時のバスでね~」



「早朝に、あっちに着くけど。
フェリーまだないでしょ?」



「それが、明日は本土の市場に高松さんが居るから、
その帰りの船に乗せて貰えるの。

お父さんが早く帰って来いって煩いから。
あの人、私が居ないとほんとダメで」




その高松さんは知り合いで、
漁師なのかなんなのか分からないけど


その人の船で、早朝からでもお母さんは島に戻れるのだろう




「父ちゃんにも、
よろしく言ってて」



「たまには久志も島に帰って来なさいよ。

仕事が忙しいのも分かるけど」



「はーい」



ナツキは仕事が忙しいと嘘の理由で、

島には全然帰っていないみたい





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