LOVEPAIN⑤



「広子ちゃん。
久志の事、本当によろしくね」




もうナツキがホストなのもバレているのならば、

私ももう嘘を付く必要なんてないんじゃないだろうか



「――私…」



私はナツキの彼女でも大学生でもなければ、

AV女優





「――母ちゃん、ほうじ茶でいい?」


息を切らして戻って来たナツキの手には、

ほうじ茶のペットボトルがある





「ありがとう」


ナツキのお母さんはそれを受け取ると


「二人共、じゃあね」


そう言って、
バスに乗り込んでいった





ナツキのお母さんは3列目窓際の座席に座ると、

窓を開いた




「言い忘れていたけど、
久志、誕生日おめでとうね」



「ありがとう。
本当に…」



ナツキのその言葉の後には、
産んでくれて、と続きそう

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