LOVEPAIN⑤

「すぐに周りに止められたし、殴り返されたけど。

そん時に、このままこの店でホストになってこいつに勝ってやろうと決めた。



3ヶ月後、俺がナンバーワンになって勝ったんだけど……」






ナツキならば当然の結果なのだけど、

本当に良かったと思う





大切な人を傷付けた相手に、



そうやって悔しい思いをさせてやれて





なのに、ナツキの口調は重く、



次の言葉を躊躇っているように見える







「――女の広子に軽蔑されそうだけど。



その頃にはそのホストと打ち解けてて、

それなりに仲良くて。

その人は仕事を一生懸命にやっただけなんだって。

自分もホストになったら、

その人の考え方も理解出来てしまって。



俺も、綺麗事だけで仕事してないし」





「え?」






予想外のナツキの言葉に、



怒りが行き場を無くしたように消えて行く






「だから、そうなってからアイツの事を謝れた時は、



何も俺は言えなくて」





「そんな…」





ナツキの言うように、



女である私にはそんなホストの男性の考え方なんて理解出来ない





それに、もし理解出来ても、



大切な人を傷付けられて許せるはずがない






だからナツキも、



許した訳ではないのかもしれないけど
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