LOVEPAIN⑤
「――広子?」
「え?」
「着いたけど」
成瀬に声を掛けられハッとして顔を上げると、
目的地に着いたみたい
成瀬のアルファロメオに乗ってからずっと台本を読んでいたけど、
いつの間にか私は考え事をしていた……
今日もいつものように、
成瀬は昼にマンションの前迄私を迎えに来てくれた
その時間を教える前日の連絡は、
メールをくれた
「ボーとしてるけど大丈夫か?
体調が悪いとか?」
「いえいえ!」
首を横に振ると、
成瀬はそっかぁ、
と言って心配そうな表情を崩してくれた
成瀬よりもナツキの方が私を思って大切にしてくれるのに、
何故、私は今も目の前のこの男がこんなにも愛しいのだろう
そうやってちょっと心配されただけで、
その思いに胸が支配される
今は成瀬を好きだと感じる度に、
胸がキリキリと痛いだけなのに